ドナルド・トランプ米大統領と習近平国家主席の首脳会談を控えた北京に、エヌビディア共同創業者のジェンスン・フアンCEOが大統領専用機エアフォース・ワンで急遽同乗した。米政治に精通する人物によると、この異例の合流は通商交渉にAIと先端半導体を議題の中心に据える狙いがある。トランプ氏はイラン戦争ではなく貿易問題を優先課題に据えると明言しており、中国市場に大きく依存するエヌビディアの存在が外交カードとして浮上した形だ。
AI投資競争が加速するアントロピックの300億ドル調達交渉
米中関係の緊張が深まる一方で、AI開発企業への資金流入は衰えを見せない。ブルームバーグが複数の関係者から得た情報によれば、生成AIの有力スタートアップであるアントロピックは少なくとも300億ドルの新規資金調達に向け、投資家との初期協議に入った。これが実現すれば同社にとって過去最大の資金調達ラウンドとなる。
関係者は匿名を条件に、交渉が初期段階にあることを明らかにした。調達額は市況により変動する可能性が残る。
この動きは、オープンAIやグーグルなどとの競争が激化する生成AI市場において、研究開発と計算資源の確保に莫大な資本が必要である現実を映し出している。アントロピックは安全性を重視したAI開発を標榜しており、巨額の資金調達は次世代モデルの開発競争で主導権を握る布石と見られる。日本企業にとっては、AI分野での国際連携や投資判断の文脈で、同社の資金力拡大が今後の協業機会や競争環境を左右する材料となる。
離陸前の異例合流が示す半導体産業の政治力学
事情に詳しい政権関係者によると、フアンCEOはエアフォース・ワン出発の最終段階で乗客名簿に追加された。大統領の外遊に特定企業の経営者が同行するのは極めて異例であり、先端半導体を巡る米中の攻防が首脳級外交の核心にある証左だ。
エヌビディアは中国向けに規制適合版のAI半導体を輸出しているが、米政府による対中輸出規制は強化の一途をたどっている。トランプ氏が「貿易に集中する」と発言した背景には、国家安全保障と企業利益の両立を迫られる企業側の事情を交渉材料として活用する意図が透ける。中国市場はエヌビディアのデータセンター向け売上高の約2割を占めており、規制の行方は業績を直接左右する重要変数である。
議会解散を前に窮地のスターマー英首相
英国ではキア・スターマー首相が政治生命を懸けた局面に立たされている。与党筋の情報では、スターマー氏は水曜朝の非公開会合で主要な政敵との対決に臨む予定だ。その後、チャールズ国王が今後1年間の政府施政方針を議会で読み上げる国王演説が控える。
クイーン・メアリー大学ロンドン校のティム・ベイル政治学教授は、スターマー氏が直面する最大の課題は党内亀裂の修復にあると指摘する。物価上昇と公共サービス停滞への不満が支持率を押し下げており、ダウニング街の主導権維持には国王演説で具体性のある政策ビジョンを示せるかが分水嶺となる。
シーメンスCEOが語る米中依存と欧州産業戦略
番組に出演したシーメンスのローラント・ブッシュCEOは、米中の分断深化が欧州製造業に与える構造リスクに言及した。同氏は「サプライチェーンの再編はもはや選択ではなく必須の経営課題である」と述べ、特定市場への過度な依存から脱却する必要性を強調した。
シーメンスは産業用ソフトウェアと自動化技術で中国市場に深く根を張る一方、米国のインフラ需要も取り込むグローバル展開を進める。ブッシュ氏は今後3年で東南アジアとインドへの投資比率を引き上げる計画を明らかにし、地政学的ショックを吸収できる事業構造への転換が欧州企業の競争力を左右するとの見方を示した。米中首脳会談の結果は、こうした産業界の資源配分を加速させる契機となる。