米国の格安通信事業者Visibleが2026年5月に提供するプロモーションコードの全容が明らかになった。新規契約者と長期利用者の双方を対象に、通信料金から合計400ドル超を削減できる仕組みである。米ワイアード誌が入手したコード情報によると、キャンペーンの適用にはタイミングとプラン選択が鍵を握る。

Visibleとは何か

Visibleは米ベライゾン・コミュニケーションズが傘下に置くMVNOである。物理店舗を持たず、契約からサポートまですべてをアプリで完結するデジタル専業モデルを採用している。主力プランは月額25ドルのベーシックと月額45ドルのプラスの2種類で、いずれもデータ無制限をうたう。2023年のリブランド以降、5Gウルトラワイドバンド対応を加速させており、ベライゾンの全国ネットワークをそのまま利用できる点が最大の売りだ。

プロモーションコードの具体的な割引構造

ワイアードが公開したコードは複数存在し、適用条件によって割引額が変動する。新規契約者向けの基幹コードは「SAVE20」で、月額プラン料金から20ドルを3カ月連続で割り引く。プラスプランで契約した場合、総額60ドルの削減となる。これに加え、2つ目のコード「BRINGYOURDEVICE」を併用すると、対応端末の持ち込み契約でさらに40ドルのクレジットが付与される。

長期利用者を対象としたコード「LOYALTY25」は、契約から13カ月目以降に適用可能で、月額25ドル割引を12カ月間継続する仕組みだ。こちらは最大300ドルの削減に達する。ベーシックプランの月額料金が25ドルであるため、実質的に1年間の通信費が無料になる計算である。ワイアードの試算では、新規契約から1年超にわたって全コードを適用した場合、合計削減額は400ドルを上回る。

利用時の注意点と制約条件

プロモーションコードの重複適用には順序制限がある。SAVE20とBRINGYOURDEVICEは同一月に併用できるが、LOYALTY25は13カ月の待機期間が必要だ。前契約者からの乗り換え時に発生する番号ポータビリティ手数料は自己負担となる。請求は前払い制であり、割引は毎月の自動更新時に適用される。コード入力はVisible公式アプリの「プロモ追加」画面で行う設計で、契約後に遡及適用はできない。

ワイアードは読者に対し、契約前に自宅や勤務先の5Gカバレッジをベライゾンの公式マップで確認するよう推奨している。ウルトラワイドバンドは都市部中心の展開であり、地方では通常の5GまたはLTEに切り替わる。この場合、月額45ドルのプラスプランの速度優位性が薄れるため、25ドルのベーシックプランで十分と判断する手もある。

MVNO市場の競争激化とVisibleの位置づけ

米国のMVNO市場ではミントモバイルやメトロ・バイ・Tモバイルが攻勢を強めており、プロモーション合戦が過熱している。ミントモバイルは2025年冬のキャンペーンで半年間の半額割引を打ち出し、メトロは端末無料配布を強化中だ。Visibleの今回のコードは、競合が月額料金の安さを訴求するなかで「長期割引の総額」を前面に出した戦略といえる。

調査会社ウェーブセブン・リサーチの集計では、米MVNO契約者の平均継続期間は19カ月である。LOYALTY25の適用開始が13カ月目という設計は、平均をやや下回るタイミングで解約防止のインセンティブを差し込む計算だ。400ドル超という総額は、消費者のスイッチングコストを上回る水準として設定された可能性が高い。

日本市場への示唆

国内MVNO事業者にとって、Visibleのプロモーション設計は示唆に富む。日本では楽天モバイルが長期利用者向けのポイント還元を強化し、IIJが音声通話付きプランの値下げに踏み切ったが、割引の大半は新規獲得に偏重している。契約13カ月目から本格的な割引を開始するVisibleの手法は、解約率の高い2年目以降の顧客維持に有効なモデルであり、国内事業者の料金戦略見直しを促す可能性がある。

ただ、総務省が定める国内のMVNO卸料金の高止まりが、同様の大規模プロモーション実施の障壁となっている。NTTドコモの新料金プラン導入による卸価格の見直しが進めば、2026年度以降にVisible型の長期割引が国内でも出現する余地はある。通信アナリストの間では、サブブランドのahamoやLINEMOが先行して長期利用優遇を試験導入するとの観測が出ている。