コンサルティング大手アルバーレス&マーサル(A&M)が、2028年までに全収益の半数を人工知能(AI)関連の研究・サービスから生み出すambitiousな目標を掲げた。この計画は、同社の事業構造を根底から転換させるものであり、想定されるAI関連収益は35億ドル(約5,200億円)に上るとみられている。これは単なるデジタル変革の延長線上にある施策ではなく、同社の成長エンジンそのものをAIへシフトさせる決断と言える。
A&Mは伝統的に企業再生や財務アドバイザリーで強みを持つ老舗コンサルティングファームである。しかし、生成AIの急速な普及により、クライアントのニーズはデータ活用や自動化、意思決定支援へと大きく変化している。同社は、この波を単なるツール導入として捉えるのではなく、AIを中核とした新たな価値創造プラットフォームとして位置づけている。具体的には、AIを活用したプロセス再設計や、業界特化型の予測モデル構築など、高付加価値なソリューションの提供を強化する方針だ。
35億ドルという数字は、現在のAI関連収益規模を大幅に上回るものであり、その達成には組織全体の総力戦が求められる。既存のコンサルタント陣へのAIリテラシー向上研修や、AI専門人材の大量採用、さらには外部スタートアップとの連携加速など、多角的な施策が並行して推進される見込みである。特に重要なのは、AI技術そのものの提供だけでなく、クライアントのビジネス課題解決にどう結びつけるかという「応用力」の磨き込みであろう。
この目標は、業界全体の潮流を反映するものでもある。マッキンゼーやデロイトなど競合他社もAI分野への投資を拡大しており、コンサルティング業界におけるAI競争は白熱している。A&Mが「50%」という明確な数値目標を設定した背景には、市場での差別化を図り、成長曲線を急激に引き上げたいという切実な狙いがある。
ただし、課題も山積している。AIプロジェクトの成功率向上や、セキュリティ・倫理面での信頼確保、そして何より、クライアントが実際に投資対効果を実感できる成果を出し続けることだ。技術の進歩は目覚ましいが、ビジネスへの実装には時間と経験が必要不可欠である。A&Mが掲げた2028年という期限は、決して甘くはない。同社の今後の動向は、AI時代のコンサルティングファームの在り方を見極める一つの指標となるだろう。成功すれば、同社のブランド価値は飛躍的に高まり、業界のトップランナーとしての地位をさらに固めることになる。