GMOグローバルサインは2026年8月19日、ID管理・認証サービス「GMOトラスト・ログイン」に、導入済みSaaSの契約・アカウント・利用者情報を一元的に管理する3つの台帳機能を追加した。企業のSaaS利用が拡大する中、部門ごとに分散した契約や権限の全体像を把握できないことがセキュリティとコストの両面で課題となっており、IDを軸にした管理基盤の実装は運用統制の再設計を促す可能性がある。

SaaS台帳機能が狙う、分散管理の解消と統制強化

今回リリースされたのは「アプリ台帳」「アカウント台帳」「メンバー台帳」の3機能である。アプリ台帳はSaaSごとの契約形態やライセンス費用、認証方式を管理し、契約内容と利用実態の乖離を把握しやすくする。アカウント台帳はID単位で権限やSSO実行回数を可視化し、誰がどのSaaSにどの権限でアクセスしているかを明確にする。メンバー台帳は従業員の在籍状況やMFA利用状況を一元管理し、棚卸しや監査対応の負荷を軽減する。いずれも管理者が項目をカスタマイズできる。

IDaaSとSaaS管理の一体化が示す、認証基盤の拡張方向

この機能強化により、GMOトラスト・ログインはIDaaS、パスワードマネージャー、SaaS管理を単一プラットフォームで提供する形態となった。従来、ログイン統制とSaaS資産管理は別ツールで行われることが多かったが、IDを軸に両者を統合することで、導入から利用、統制までのライフサイクルを一貫して扱える。認証基盤が単なるアクセス制御のレイヤーから、企業のSaaSポートフォリオ全体を管理するレイヤーへと役割を広げていることを示している。

国内SaaS運用のコストとセキュリティ、双方への実務的影響

企業のDX推進によりSaaS導入数は増加しているが、部門ごとの契約が進んだ結果、未使用ライセンスや重複契約、退職者アカウントの停止漏れ、過剰な権限付与といった問題が顕在化している。台帳機能はそれらの可視化を通じてコスト最適化とリスク低減を支援する。料金は「SSOプロ+SaaS管理プラン」が月額500円(税込550円)/ID、「SaaS管理プラン」が月額290円(税込319円)/IDで利用できる。

今後の論点:SaaS管理市場におけるID基盤の位置づけ

SaaS管理はIT資産管理やIDガバナンスの領域と近接しており、既存のITSMツールや専用のSaaS Management Platformとの競合が想定される。GMOトラスト・ログインの優位性は、SSOやパスワードレス認証、多要素認証といった認証機能との統合にある。企業がID管理とSaaS管理を一体で運用する方向に動くか、専門ツールを組み合わせるかは、今後の導入実績や連携範囲の拡大によって判断が分かれる可能性がある。