デジタル庁は2026年7月14日、小型無人機等飛行禁止法に基づき、同庁庁舎とその周辺地域を新たに飛行禁止区域として指定・更新した。これにより、千代田区紀尾井町を中心に港区赤坂や新宿区四谷の一部までを含む広範囲でドローンの飛行に原則禁止の規制が及ぶ。都市部でのドローン配送やインフラ点検を計画する事業者は、複数の管理者同意や国土交通省の許可を含む重層的な手続きを求められることになる。

法に基づく対象施設の追加指定と地理的広がり

小型無人機等飛行禁止法は、国会議事堂や首相官邸、皇居といった国の重要施設とその周辺上空でのドローン飛行を原則禁止している。今回の更新は、この法律に基づきデジタル庁庁舎を新たに対象施設に加え、その敷地と周辺地域を指定する行政手続きである。指定範囲は千代田区紀尾井町の庁舎敷地に加え、霞が関、永田町、麴町、一番町から四番町、六番町、さらに港区赤坂の一部と新宿区四谷一丁目の一部にまで及ぶ。官公庁が集積する都心部において、飛行が許容されない空域がさらに拡大したかたちだ。

事業者が直面する重層的な法規制と同意取得の実務

この区域でドローンを飛行させる事業者は、複数の法規制を同時に満たす必要がある。まず小型無人機等飛行禁止法に基づき、対象施設の管理者であるデジタル庁の同意を得なければならない。指定範囲が他の重要施設の周辺地域と重複する場合は、それぞれの管理者から個別に同意を取る必要も生じる。さらに、この一帯は航空法上の人口集中地区に該当するため、国土交通大臣の飛行許可も別途必要となる。警察庁が設けるワンストップ窓口は対象危機管理行政機関の庁舎に関する同意手続きを一括して扱うものの、国会議事堂や皇居、外国公館等への個別同意を免除するものではない。事業者は複数の行政手続きを並行して進める計画管理が求められる。

都市点検と物流サービスにもたらす制約と計画論点

今回の区域指定は、都心部でのドローンを活用したインフラ点検や商業配送サービスの事業計画に影響を与える。ビルや橋梁の外壁調査、送電線の巡視、緊急物資の輸送といった用途で永田町・赤坂・四谷エリアを含む飛行ルートを設定する場合、デジタル庁を含む複数施設管理者の同意取得と国交省許可の両方が前提となる。飛行申請のリードタイムが長期化すれば、機動的な点検対応や時間指定配送の事業性に制約が生じる可能性がある。一方で、規制区域が明確化されたことで、対象外のルート設計や有人エリアでの安全な運航管理システムの開発を促す要因にもなり得る。