エクサウィザーズのグループ会社Exa Enterprise AIが提供する法人向け生成AI「exaBase AI」の利用ユーザー数が15万人、導入社数が1,700社を突破した。企業における生成AI活用が、個人主導の試験的利用から組織全体で業務に組み込む「業務基盤」としてのフェーズに移行しつつある実態が、この数字から浮かび上がる。

1,700社が選んだ理由は「AIエージェント」機能の拡充

exaBase AIは2023年6月の有料サービス開始以来、テクノロジーの進化に合わせた機能拡張を継続してきた。現在は複数の大規模言語モデル(LLM)へのアクセスや社内データ連携といった基礎機能に加え、「エージェントコレクション」や「カスタムエージェント」など、業務を自律的に遂行するAIエージェント機能を提供している。PowerPoint形式でのダウンロードが可能な「スライド作成ツール」も実装されており、単なる対話型チャットから一歩進んだ、実務直結のツールへと進化している点が、導入企業の拡大に寄与したと考えられる。

市場シェアNo.1が意味するもの

同社は、富士キメラ総研の市場調査における2024年度実績で、サードパーティ対話型生成AIアプリケーション・ベンダーシェア1位を獲得したとしている。これは多くの企業が特定の基盤モデルに直接接続するのではなく、セキュリティや社内データ連携、従業員への展開管理といった法人ニーズに対応した中間レイヤーのサービスを選択し始めていることを示唆する。生成AIの産業構造において、基盤モデルを提供するレイヤーと、それを業務活用につなげるアプリケーションレイヤーの分業が、日本市場で具体的に進行している一例といえる。

自治体向け普及が示す公共分野への浸透

今回の利用ユーザー数15万人には、一般企業向けとは異なる料金体系を持つ「exaBase AI for 自治体」のユーザーが含まれている。自治体のような公共セクターでは、住民情報などの機密性の高いデータを扱うため、セキュリティやガバナンスが重視される。同サービスの自治体への導入実績は、パブリッククラウド型の生成AIであっても、適切な設計により行政現場の要求水準を満たし得ることを示している。

問われる「組織定着」への成否

エクサウィザーズは今後について、AIが一人ひとりの業務に寄り添い能動的に支援する体験の実現や、誰もがAIを活用できる環境づくり、AIエージェント時代のセキュリティ強化を課題として挙げている。1,700社という導入社数は、契約企業数を示すものであり、各組織内で実際に業務プロセスがどの程度変化したかという「深さ」の指標ではない。同社がグループのAX人材育成や開発支援サービスとの連動強化を打ち出している背景には、AIの導入から実質的な業務変革への橋渡しが、次の競争領域になるという認識があるものとみられる。