AI insideは2026年5月13日、AI統合基盤「Leapnet」の正式提供を開始した。社内データの知識化から業務特化型AIエージェントの構築、API提供までをノーコードで実現する。このプラットフォームは、企業内で分断するAI導入の課題に対し、モデルからアプリケーションまでを一貫提供することで対処する設計であり、AI活用の構造そのものを変える可能性を持つ。

分断されたAI実行環境を統合する「4層」設計

AI insideは今回の発表で、企業のAI導入が抱える構造的課題を明確に指摘している。多くの企業ではAI活用が個別の業務やツールに限定され、その実行環境やデータ連携の仕組みが分断されたままになっている。Leapnetはこの課題に対し、AIモデル、推論専用ハードウェア、プラットフォーム、業務アプリケーションの4層すべてを自社で開発・提供する。モデル学習からAPI運用までの工程を単一基盤上で接続することで、分断を解消し、導入から本番運用までの速度を高めることを狙っている。AI insideは国内パートナーとの接続拡大を通じ、日本独自のAIインフラ構築を推進する方針も示した。

ノーコードAIエージェントが収益構造を変える

Leapnetの中核機能は、自然言語の指示だけで業務特化型のAIエージェントを構築できる点にある。構築したエージェントはAPIとして自社の業務システムに組み込めるだけでなく、外部に提供して新たな収益源とすることも許容されている。これは、AIの活用成果を内製化しつつ、社外への提供により直接的な収益化を視野に入れた設計である。利用料は2円/1,000トークンの従量課金制で、処理量に応じた変動費として管理できる。この料金体系は、大規模な初期投資を避けたい企業にとって導入判断のハードルを下げる要素となる。

マルチモーダルRAGが広げる社内データの活用範囲

Leapnetには、AI insideが独自開発した大規模言語モデル「PolySphere-4」が搭載される。加えて、PDF、CSV、画像、音声、動画といった多様な形式の社内データをアップロードするだけで、自然言語による質問応答が可能な検索基盤(マルチモーダルRAG)が自動構築される。事前のモデル学習やチューニングが不要であるため、データを保有していながらAI活用に踏み切れていなかった部門でも、蓄積された非構造データを直接知識化できるようになる。この機能は、ドキュメント処理に強みを持つ同社の技術資産を、汎用的な業務基盤へ転換する動きと位置づけられる。

業種特化サービスと今後の焦点

AI insideは今後のロードマップとして、業種ごとの業務課題に対応するAIエージェントサービスの提供を発表した。第一弾は2026年5月に製造業向けの提供を開始する。このサービスにはサンプルRAGデータ、エージェント構築用プロンプト、検証用アプリケーションが含まれ、ユーザーは自社データに置き換えるだけでAIエージェントを立ち上げられる。注目すべきは、汎用基盤としてローンチされたLeapnetが、業種特化テンプレートによって垂直統合的な価値を強めていく展開の初動である点だ。国内パートナーとの接続拡大と合わせ、この路線がどこまで浸透するかが今後の評価軸となる。