GMOメイクショップ、日本郵便、JPデジタルは、デジタルアドレスとスマートロッカー「PUDOステーション」を組み合わせた実証事業が国土交通省の補助金対象に採択されたと発表した。2026年11月から開始し、EC利用者の受け取り体験向上と再配達削減を検証する。住所のデジタル化が物流課題にどこまで有効かを占う試金石となる。

実証の枠組みと各社の分担

本実証は、日本郵便が2025年5月から提供するデジタルアドレスを、ECサイト上の受け取り場所指定に活用する仕組みを検証するものだ。GMOメイクショップがECサイト上での受け取り体験の設計・実装を担当し、日本郵便が企画・設計と全体推進、JPデジタルがシステム開発を担う。Packcity Japanは全国約7,000箇所のオープン型スマートロッカー「PUDOステーション」を提供する。実証開始は2026年11月を予定しており、システム開発やプロモーション設計を経て実施される。

EC事業者の導入障壁をどう下げるか

プレスリリースは、ロッカー受け取りの普及が進まない理由として、EC事業者側のシステム連携負荷と、利用者側のUI上で受け取り可能場所が分かりづらい点を挙げる。デジタルアドレスは7桁の英数字で事前登録した住所と連携し、引っ越し後も同じアドレスを使い続けられる。この仕組みを受け取り場所の共通基盤として用いることで、複数の受け取り手段を横断的に扱える可能性がある。ただし、実証前の段階であり、具体的な導入効果や連携仕様の詳細は明らかにされていない。

物流業界の構造的課題に対する位置づけ

EC市場の拡大に伴い宅配便取扱個数は増加を続ける一方、再配達の発生、ドライバー不足、ラストワンマイルの配送負荷が深刻化している。国土交通省が補助金を通じて多様な受取方法の普及を後押しする背景には、荷物の受け取り側の行動変容を促さなければ物流網の持続性が保てないという行政の認識がある。本実証は、受取方法の多様化が物流負荷低減にどの程度寄与するかを定量的に検証する場として機能する。

住所データをめぐる競争とプライバシー設計

デジタルアドレスは地理的な位置や同居者情報を直接含まない7桁の英数字であり、デジタルアドレスから名前を特定したり、名前や住所からデジタルアドレスを検索したりすることはできない設計だという。このプライバシー配慮は、住所情報を扱う他サービスとの差別化要素になり得る。同時に、住所に紐づくデータをどの主体が管理し、どの範囲でEC事業者や物流事業者と共有するのかが、今後の普及を左右する論点となる。