GMOペイメントゲートウェイは2026年6月、オンライン決済サービス「PGマルチペイメントサービス」に、AIエージェントとECをつなぐ共通仕様UCPを採用した独自の決済ソリューションを構築した。エージェンティックコマースの拡大を見据え、EC事業者がAI経由の購買需要を取り込むための土台となる動きだ。
UCP採用が意味する接続方式の変化
GMO-PGが構築したのは、Googleと業界各社が2026年1月に発表したUCPに準拠する決済ソリューションである。UCPは商品検索・購入・注文管理といった商取引機能をAIエージェントが外部サービスと連携して実行するためのオープンな共通仕様で、特定のAIエージェントに依存しない。GMO-PGは2025年6月にMCP対応を開始しており、今回のUCP採用はその延長線上にある。EC事業者から見れば、個別のAIアシスタントごとに接続を開発するのではなく、共通仕様に合わせた決済基盤を用意できる点が変化の核となる。
影響を受けるECカートと国内PSP市場
プレスリリースには連携予定のECカートとして、ecbeing、カラーミーショップ byGMO、makeshop byGMO、GMOクラウドEC、ecforce、E.ACE、W2 Commerce、メルカートの8つが挙げられている。いずれも日本国内で導入実績のあるカートであり、GMO-PGの決済基盤を通じてエージェンティックコマース対応が進む可能性がある。国内PSP市場では、決済処理金額23兆円超、加盟店15万店舗以上というGMO-PGの規模を踏まえると、今回の構築はEC事業者のAI購買対応を左右するインフラ整備として位置づけられる。ただし、各ECカートごとの対応範囲や提供時期は現時点で明らかにされていない。
AI産業構造に沿った決済レイヤーの整備
エージェンティックコマースでは、AIモデルやエージェントが直接商品を選び、購入手続きまで行う。そのため、モデルやアシスタントを提供する企業だけでなく、決済・注文管理・ECプラットフォームといった実行レイヤーの標準化が不可欠になる。UCPはこの実行レイヤーを業界横断で揃える仕様であり、GMO-PGの取り組みは日本国内の決済事業者がその層に投資を始めた事例といえる。AIエージェント経由の購買が増えるほど、決済の確実性や与信、返品処理、ユーザー認可の確認といった論点が重要になる。今回の発表は、そうした実務課題への対応が国内PSPで具体化し始めたことを示唆している。