Perplexityは、既存のSpacesを発展させた新機能Projectsを公開した。Projectsは、人間とAIエージェントが同一のファイルシステムと永続的なメモリを共有し、長期的な作業を共同で進めるためのハブとなる。単なるチャット応答から、継続的な業務プロセスを処理する基盤への移行を示す動きだ。

Projectsが変えるAIとの作業関係

従来のAIアシスタントとの対話は、多くが単発のセッションに限定され、文脈は毎回失われた。Projectsは、共有された階層型ファイルシステムを導入する。AIは人間の同僚のようにファイルを開き、最新版を読み、編集し、同じファイルに保存し直す。これにより、タスクごとに一から作業をやり直す必要がなくなり、反復的で継続的な業務への適用可能性が高まる。

Brainが担う自己改善型の記憶メカニズム

Projectsの中核には、Brainと呼ばれる自己改善型のメモリシステムがある。Brainはタスクの合間に、Project内の共有セッションとファイルを分析し、行われた作業の「生きた記憶」を維持する。学習した内容は次のタスクに適用され、ユーザーは文脈を毎回再構築する手間から解放される。また、Brainはファイル整理やProject概要の更新も自動化し、スケジュール実行またはオンデマンド実行が可能だ。

チーム協働と外部ツール接続の拡張

Projectsは個人利用だけでなく、チームでの協働を前提に設計されている。共有Projectでは、チームメンバー全員が同じファイル、文脈、スキルを参照する一方で、個人のメモリとコネクターは各アカウントに閉じられる。また、Google Drive、Notion、Linear、Snowflake、GitHubなど400以上のツールやSlack、Microsoft Teamsのチャンネルと接続できる。ローカルファイルはアップロードしたユーザーのみが可視化できる権限設計となっている。

AI産業におけるエージェント基盤競争の論点

この発表は、AIの価値がモデルの応答精度から、いかに業務プロセスに深く統合されるかへ移行しつつあることを示す。Perplexityは検索型の回答エンジンから、エージェントがファイル操作と永続記憶を持つ作業基盤へと機能を広げた。背景には、クラウド上のデータストレージ、API連携、モデル推論、そしてユーザー組織のワークフローを結ぶレイヤーの重要性が増している構造がある。日本企業にとっては、AIエージェントを導入する際に、社内のファイルサーバーやSaaSとの接続、アクセス権限の設計、人間の承認フローをどう組み込むかが具体的な検討課題となる。