GMOインターネットが2026年7月に発表した起業経験者615名への調査で、生成AIサービスが満足度84.4%、継続利用意向87.6%と、法人カードや会計ソフトなど他カテゴリを上回る最高評価を記録した。利用率では会計ソフトが68.9%で首位だが、導入後の評価指標では生成AIが全項目で最も高い。起業現場におけるAIの位置づけが「試用段階」から「定着ツール」へ移行しつつあることを示す数字である。
利用率首位は会計ソフト、評価首位は生成AI
調査は「法人カード」「会計ソフト」「シフト/勤怠管理」「ビジネスチャット」「生成AIサービス」の5カテゴリを対象に実施された。利用率が最も高かったのは会計ソフトの68.9%で、起業初期の経理基盤としての定着を示している。一方、利用率56.4%の生成AIサービスは、「満足以上」が84.4%、「継続利用意向」が87.6%、「役立った」が83.9%、「おすすめしたい」が75.8%と、いずれの評価指標でも5カテゴリ中最高を記録した。情報収集や資料作成の効率化に加え、契約書や提案資料の作成時間短縮といった具体的な業務改善が評価につながっている。
選定理由に表れる起業初期の現実的な判断基準
サービス選定理由の上位には「導入しやすかった」「知名度が高かった」「初期費用が安かった」が並んだ。限られた人員と資金で事業を立ち上げる起業家にとって、機能の高度さよりも、すぐに使い始められる手軽さやコストの低さが優先される実態が浮かび上がる。生成AIサービスが高評価を得た背景にも、多くのツールが無料枠や低額プランを提供し、特別な導入プロセスなしにブラウザやアプリから即座に利用を開始できる点が寄与していると考えられる。
生成AIが業務効率化ツールの主役に浮上
本調査で注目すべきは、生成AIがビジネスチャットや勤怠管理といった従来型のデジタルツールと同列のカテゴリとして扱われ、かつ利用者評価でそれらを上回った点である。これは生成AIが単なる先端技術ではなく、起業家の日常業務を支える実用的なインフラとして認識され始めていることを示唆する。会計ソフトが「起業に必須の経理基盤」として利用率で首位を維持する一方、生成AIは「導入後の満足度と継続意向」で最も支持されるツールとなった。両者の関係は競合ではなく、それぞれ異なる役割で起業家の業務を支える補完関係にある可能性が高い。
AIサービス提供企業への示唆と今後の論点
今回の調査結果は、AIサービスを展開する事業者にとって何を示すか。第一に、起業家層を取り込むには高度な機能の訴求より、導入障壁の低さと初期コストの抑制が決定的に重要である。第二に、利用率では会計ソフトに及ばないものの、利用者の推奨意向が高いことから、口コミや紹介による有機的な普及拡大が期待できるフェーズに入ったといえる。今後の論点として、生成AIの利用が特定の業務領域に偏っているのか、起業家の職種や業種によって評価に差があるのかといった粒度の高い分析が待たれるが、今回公表されたデータからは明らかになっていない。