スーパーマイクロ好決算、コスト管理で時間外急伸
米サーバー大手のスーパーマイクロコンピュータ(Super Micro Computer Inc.)が6日、2025年3月期第3四半期(1〜3月期)決算を発表した。粗利益率の改善を示すとともに、通期の利益見通しを上方修正し、AIサーバー出荷に伴うコストを制御できているとの見方を示した。この発表を受け、同社株は米国時間の時間外取引で急伸した。
発表によると、売上高は前年同期比55%増の62億ドル(約9300億円)と、アナリスト予想を約4%上回った。調整後1株利益も市場予想を8%程度上回る水準となり、粗利益率は13.8%と前期の11.3%から改善した。チャールズ・リャン最高経営責任者(CEO)は「大規模AIクラスターの構築効率が向上し、部材調達コストの上昇を吸収できている」と説明した。
■ 何が起きたのか 今回の決算で市場が最も評価したのは、粗利益率の回復基調である。同社は2024年後半、液冷対応の高性能AIサーバー「DLC(直接液冷)ソリューション」の出荷を急拡大させたが、その立ち上げ時に生じた一時的な製造コストの増大で粗利益率が2四半期連続で11%台に低迷していた。
しかし今四半期は、サプライチェーンの再編と生産プロセス最適化が奏功し、13.8%まで回復。通年の粗利益率見通しも14%近辺へ上方修正した。これにより、同社の収益構造が「急成長に伴う利益率悪化」の段階から「成長を取り込みつつ利益を確保する」段階へ移行しつつある浮かび上がった。
売上高の約7割をAI向けが占めるとされ、米エヌビディアの最新GPU「Blackwell B200」搭載製品の出荷が本格化し始めたのも、単価上昇と収益改善に寄与している。
■ 市場と業界への波及 スーパーマイクロの決算は、AIインフラ需要の持続性を測る先行指標として、業界全体の関心を集めていた。同社はエヌビディア、AMD、インテルの最新半導体をいち早く取り込む「ビルディングブロック」方式で知られ、競合のデル・テクノロジーズやヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)よりも、AI向け売上構成比が突出して高いからだ。
足元では、米クラウド大手のデータセンター投資計画が過去最大規模に達する中、AIブーム後退への警戒感も一部で根強い。しかし、本決算で示された受注残高の拡大と利益率回復は、旺盛なエンド需要が少なくとも2025年後半まで持続する可能性を示唆している。
■ 日本市場への影響 日本国内では、NECや富士通などがスーパーマイクロ製品を官公庁・研究機関向けAIインフラとして採用する事例が増加している。スーパーマイクロのコスト競争力回復に伴い、発注元の日本企業にとっては調達価格の安定や、液冷対応サーバーの早期導入機会の拡大といった恩恵が出るとみられる。国産AIクラウド整備を急ぐ経済産業省所管のプロジェクトにとっても、中核ハードウエア供給の確度が高まったとの見方が市場関係者の間で広がっている。
■ 投資家視点での課題と評価 もっとも、スーパーマイクロの株価は2024年8月に未監査の財務報告を巡る疑惑で急落し、その後ナスダックの上場維持要件を満たすため監査法人の交代を迫られるなど、ガバナンスへの懸念は完全に払拭されていない。2月に提出期限を延長した年次報告書(10-K)の提出は今次決算発表時点でも完了しておらず、規制対応の遅れが再びリスク要因として浮上する余地は残る。
それでも、バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ルプル・バタチャリヤ氏は「AI需要の強さを踏まえれば、短期的な利益率の回復基調は評価に値する」と指摘。時間外取引での株価上昇率は10%を超え、2025年初来の下落幅を大幅に縮小した。
■ 今後の展望 スーパーマイクロは7〜9月期の売上高ガイダンスを68億〜72億ドルとし、アナリスト予想中央値の67億ドルを上回る水準を示した。リャンCEOは「年率換算で300億ドル規模の出荷能力が年内に整う」とし、台湾やマレーシアでの新工場立ち上げが計画通り進行中であることも明らかにした。
AIサーバー市場は2027年までに年率30%超の成長が続くとの調査会社予測もある。スーパーマイクロにとっては、成長の次の焦点が利益率の確保から、収益の質とガバナンス強化に移るかどうかが、再評価の分岐点となる。