Microsoft PowerToysがタスクバーでモニター制御を可能に
米Microsoftは同社が提供する無償のユーティリティ集「PowerToys」の最新版において、PCの画面解像度やリフレッシュレートをタスクバーから直接切り替えられる機能を追加した。 従来、煩雑な操作が必要だったディスプレイ設定を大幅に簡略化する変更であり、マルチモニター環境の生産性向上に直結する。
タスクバーに集約された画面制御
新たに追加された「Display settings tray icon」機能を有効にすると、Windowsのシステムトレイにモニターの形をしたアイコンが常駐する。 ユーザーはこのアイコンをクリックするだけで、接続中の全モニターにおける解像度、リフレッシュレート、ビット深度をポップアップメニューから変更できる。
PCゲームや動画編集のように、作業内容に応じてリフレッシュレートを60Hzから144Hzへ手動で切り替えたい場面は多い。 従来であれば、デスクトップを右クリックして「ディスプレイ設定」を開き、「ディスプレイの詳細設定」まで階層を進まなければならず、即応性に欠けていた。 システムトレイという常時アクセス可能な場所へ機能を集約したことで、操作ステップは劇的に短縮される。
輝度やカラープロファイルの一括切り替え
今回のアップデートでは、画面の輝度調整とカラープロファイルの切り替えもタスクバーから実行可能になった。 ノートPCに多い、センサーによる自動輝度調整の動作がユーザーの意図と異なる場合でも、手動で迅速に輝度を上下できる。
複数のカラープロファイルを事前登録しておけば、例えば日中は青みがかった色温度、夜間は低ブルーライトの暖色系プロファイルへとワンクリックで移行できる。 Adobe RGBやDCI-P3といった色域を使い分けるクリエイターにとって、作業の流れを中断しないメリットは大きい。
画面分割レイアウトの新機能
PowerToysの主要機能である「FancyZones」にも改良が加えられた。 ディスプレイ上に複数のウィンドウを自動整列させる領域分割ツールだが、新バージョンではユーザーが定義したゾーン境界をキーボードショートカットで高速に移動できるようになっている。
具体的には、ウィンドウを特定のゾーンに固定した状態で「Win + Alt + 矢印キー」を押すと、そのウィンドウを隣接する別ゾーンへ即座に移動させる挙動が追加された。 これまでは一度ウィンドウをドラッグして再配置しなければならず、マルチタスク時の作業効率が一段と高まる。 Microsoftは同機能の改善にあたり、GitHub上で寄せられたユーザー提案を直接反映したと述べている。
Windows標準機能への布石
PowerToysは長らく、Microsoftの開発者コミュニティが主導する実験的なツール群という位置づけだった。 しかし近年は、今回の画面制御やテキスト抽出ツール「Text Extractor」のように、実用性の高い機能が次々と追加され、その完成度は単なる実験を超えつつある。
アナリストの間では、PowerToysの機能成熟が将来のWindows標準搭載へのテストベッドになっているとの見方がある。 実際、過去にPowerToysで提供された「PowerToys Run」アプリケーションランチャーは、macOSのSpotlightに近い高速検索体験をWindowsにもたらし、標準機能への統合を望む声が絶えない。 モニター制御や高度な画面分割が普及すれば、サードパーティ製ユーティリティへの依存度を下げ、OSの基本価値向上に寄与する可能性がある。
日本の企業ユーザーへの波及
国内のオフィス環境では、14型ノートPCと24〜27型の外部ディスプレイを組み合わせたデュアルモニター構成が一般的だ。 経理・法務など多数の資料を並べて比較する業務では、アスペクト比の異なる縦型サブディスプレイを併用するケースも増えている。 システム管理者が配布する標準PCでは設定変更を制限している企業も多いが、PowerToysは一般ユーザー権限でも動作するため、情報システム部門への申請なしに導入できる点が注目される。
同ツールはオープンソースであり、GitHub上の公式リポジトリからダウンロード可能だ。 Microsoft Store経由でのインストールにも対応しており、v0.80以降のバージョンで今回のモニター制御機能が利用できる。 機能の有効化はPowerToysの管理画面からトグルをオンにするだけで完了する。