インテル株が25%急騰する中でメタが全従業員の1割削減へ

米テクノロジー業界で事業構造の転換を迫る動きが相次いでいる。インテルは株価が1日で25%超上昇し、メタプラットフォームズは全従業員の約10%に相当する人員削減に踏み切る方針を明らかにした。マイクロソフトも希望退職プログラムを通じて人員の適正化を進めており、各社の戦略転換が鮮明になっている。

インテル株急騰の背景にある構造変化への期待

インテルの株価は2025年2月18日の通常取引で前営業日比25.4%高の27.39ドルで取引を終えた。これは2020年3月以来、約5年ぶりの大幅な上昇率である。市場関係者によると、同社のファウンドリー事業を台湾のTSMCや韓国のサムスン電子などと共同運営する合弁会社設立の観測が流れたことが直接の買い材料となった。

バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ビベック・アリア氏は顧客向けノートで「インテルの製造部門を独立させる動きは、キャッシュフローの大幅な改善につながる可能性がある」と指摘する。同社は2024年通期で188億ドルの最終赤字を計上し、創業以来最悪の業績に陥っていた。パット・ゲルシンガー前CEOの退任後、暫定体制で進められている事業再編の行方に投資家の視線が集まっている。

製造装置や工場運営の負担を外部と分担する枠組みが実現すれば、巨額の設備投資を強いられてきた財務体質の改善が期待できる。インテルはアリゾナ州とオハイオ州で建設中の新工場に約600億ドルを投じており、この資金負担の軽減こそが再建の核心課題となってきた。半導体アナリストの間では、設計と製造を分離する水平分業モデルへの移行が現実味を帯びてきたとの見方が広がっている。

メタが公表した大規模人員削減の実態

メタプラットフォームズは2月18日、全世界の従業員約7万2000人のうち約10%にあたる7200人規模の人員削減を実施すると社内通知で明らかにした。マーク・ザッカーバーグCEOは「効率化の年」と位置づける2025年の取り組みの一環であり、特に業績評価で下位に位置する従業員を対象とするという。

同社は2022年11月に1万1000人、2023年3月に1万人の削減を順次実行してきた。今回を含めると3年間で約3万人の人員を削減する計算になる。メタの広報担当者は「リソースを人工知能やメタバースなど中核的な成長領域に再配分する」と説明しており、単なるコスト削減ではなく経営資源の選択と集中を狙った措置であることがうかがえる。

アナリスト予測によると、今回の削減で年間約15億ドルの人件費圧縮が見込まれている。一方でメタの2024年12月期決算における売上高は前年比22%増の1610億ドルと好調であり、業績悪化に伴う緊急避難的なリストラとは性格が異なる点は注目に値する。好業績下での大規模削減は、テクノロジー企業が恒常的に事業ポートフォリオを見直す姿勢を強めている証左といえる。

マイクロソフトが進める希望退職という選択

マイクロソフトは2月17日、特定の事業部門を対象とした希望退職プログラムの提供を開始した。同社の人事部門が発出した内部文書によると、主にセキュリティ部門や営業部隊の一部に勤務する従業員に対して、基本給の最大12カ月分に相当する退職パッケージが提示されている。

2024年末時点でマイクロソフトの全世界従業員数は約22万8000人に達している。2025年1月にはセキュリティ部門を中心に全体の1%未満にあたる約2000人の人員を削減したばかりだ。サティア・ナデラCEOは直近の決算説明会で「持続的な成長には分野を絞った投資が不可欠」と述べており、今後も組織の再編が断続的に続く可能性が高い。

同社はクラウド事業のAzureや生成AI分野へ年間約800億ドル規模の投資を計画しており、従来型のソフトウェアライセンス事業から収益構造を転換する過渡期にある。コスト体質の見直しは業績の悪化を理由としたものではなく、将来の収益源に対する積極投資と表裏一体の経営判断である。

日本企業への波及と半導体業界再編の連鎖

米国勢の相次ぐ事業再編は日本企業の戦略にも影響を及ぼしている。ラピダスは北海道千歳市で2027年の量産開始を目指し先端半導体の国産化を進めるが、インテルのファウンドリー事業が合弁化した場合、製造技術や顧客獲得競争の環境が一変する可能性がある。ある国内半導体メーカーの幹部は「受託製造市場の勢力図が変わる局面では、日本企業も提携戦略の再点検を迫られる」と話す。

また、東京エレクトロンやSCREENホールディングスなど半導体製造装置メーカーにとっては、インテルの設備投資計画の変更が受注動向を左右する重要な変数となる。業界再編の方向性によっては、日本企業のサプライチェーン戦略にも再考が求められる場面が出てきそうだ。

AIやクラウドへの重点シフトは世界的な潮流であり、日本企業も人材配置や投資判断の迅速化が課題となる。米国テック大手の果断な経営判断は、変革のスピード感で日本の産業界が学ぶべき対象としても浮かび上がっている。