ひろぎんホールディングスとブレインパッドは、生成AIを活用した資料作成自動化AIエージェントの構築に向けたPoCを開始した。単なる文章生成ではなく、データ取得からスライド出力までを自律的に実行する仕組みを検証し、年間75,000時間の作業削減を想定する。AI活用が個別業務支援から業務プロセス全体の変革へ移る局面を示す事例となる。
資料作成の全工程をAIが自律実行する実証
本PoCでは、Excelや社内データ基盤からの情報取得・整理、文章・図表・スライド構成の自動生成、PowerPoint等への出力まで、資料作成業務の一連の工程をAIエージェントが担う。人によるレビューを前提とした業務プロセス設計も検証項目に含まれており、完全自動化ではなく、人間の判断を組み込んだ形での実装可能性を探る。対象は各種報告資料で、ひろぎんホールディングスの業務知見とブレインパッドのデータ活用・生成AIに関する技術的知見を組み合わせて推進する。
AIエージェント実用化の鍵は判断範囲の設計
ブレインパッドの金融事業責任者である中道亮介氏は、AIエージェントが業務の一部を自律的に担うには「何でも判断できるAI」を目指すのではなく、判断すべき範囲を適切に設計し絞り込むことが精度と実用性の鍵だと述べている。複数のエージェントやツール・モジュールを組み合わせながら次の一手を判断する仕組みを構築し、自律性を段階的に高めていく方針だ。この判断の仕組みは特定業務に閉じない共通部品として設計され、他業務への展開を視野に入れている。
地方銀行グループにおける生成AI導入の進化
ひろぎんホールディングスは2024年4月にグループ全従事者が生成AIを安全に利用できる環境を構築し、子会社の広島銀行では融資稟議書作成や面談準備などに生成AIを組み込んできた。今回のPoCは、個別業務支援から複数工程を自律実行するAIエージェントへと活用領域を広げる段階に位置する。実用化された場合、年間75,000時間の作業時間削減を想定し、創出された時間を企画立案や顧客提案などの高付加価値業務へシフトさせることを目指す。
AI産業構造に示す導入レイヤーの変化
今回の実証は、GPUやクラウド基盤、大規模言語モデルといった基盤技術の上に、企業の業務プロセスに即したAIエージェントという導入レイヤーが形成されつつあることを示す。ブレインパッドのようなデータ活用・AI導入支援企業が、業種固有の業務知見を持つ事業会社と組み、判断範囲の設計や共通部品化を進めることで、AIエージェントの実用性を高めようとしている。この構図は、金融業を起点に他の業務領域や業界へ展開される可能性がある。