GMOペパボは2026年7月15日、個人・中小企業向けのネットワーク接続サービス「ロリポップ!ゼロトラストリンク」を提供開始する。複雑な設定不要で端末間の暗号化通信を実現し、最大6ユーザーまで無料で利用できる。この動きは、高コストだったゼロトラスト技術の個人・小規模事業者への浸透と、AIエージェントの安全な業務接続基盤としての活用という二つの変化を市場に促す。

最大6ユーザー無料、VPN設定不要のゼロトラスト

新サービスはWireGuardベースのP2Pメッシュ通信を採用し、自宅・オフィス・クラウドの端末を中継サーバーなしで直接接続する。接続のたびに本人確認と権限チェックを行い、従来の社内ネットワークを信頼の前提とするVPNの限界を克服する設計だ。料金は最大6ユーザーまで無料のフリープランと、ユーザー数無制限で月額1,200円(税込)のスタンダードプランを用意する。クレジットカード登録なしで利用を始められる点が、個人事業主や小規模チームの導入障壁を大きく下げている。

なぜ大企業向けから個人向けへの転換が起きたか

リモートワーク定着とクラウド利用拡大により、安全な遠隔アクセス需要は大企業から個人・中小企業へ拡散した。しかし既存のゼロトラスト接続サービスは海外製で大企業向けに設計され、日本語サポートや国内法準拠の面で小規模事業者には不向きだった。GMOペパボはレンタルサーバー「ロリポップ!」で累計250万ユーザーを抱える知見と、固定IP付きVPNサービスの運用実績を基に、専門知識不要というコンセプトでこの空白地帯に参入した。これにより、セキュリティ水準を維持したまま、国内の小規模事業者がゼロトラストを導入できる選択肢が初めて一般化する。

AIエージェント向け接続機能が示すインフラ競争

GMOペパボは今回の発表で、AIエージェントが社内データやシステムに安全にアクセスするための接続機能を今後提供する計画を明らかにした。同社は既にAIエージェントのWebアプリ公開を可能にする「ロリポップ!デプロイナウ」や、24時間稼働の「ロリポップ!AIエージェントクラウド」を展開しており、今回のネットワーク接続基盤を加えることで「動かす・届ける・つなぐ」というAIインフラの三層を国産サービスで統合しようとしている。ソフトウェアを人が使う時代からAIが使う時代への転換を見据え、データ主権を国内に確保したい事業者にとって、インフラ選択は事業リスク管理の要になりつつある。

国内クラウド・ホスティング市場への波及

このサービスの登場は、国内ホスティング事業者間の差別化競争にも影響を与える。GMOペパボはレンタルサーバー事業で培った顧客基盤に、ゼロトラスト接続とAIエージェント実行環境を組み合わせ、単なるサーバー提供から事業者のデジタルワークスペース全体を支えるポジションへ移行を図っている。対応OSはiOS、Android、macOS、Windowsで、Linux版も近日公開予定だ。低価格帯でのゼロトラスト提供が標準化すれば、他の国内ホスティング事業者も同様のサービス対応を迫られる可能性があり、中小企業向けクラウド市場のセキュリティ水準全体を押し上げる契機となる。