GMOインターネットグループは、2027年4月1日付で創価大学の小池莉希選手と志學館大学の中村晃斗選手が陸上部に所属内定したと発表した。両選手は箱根駅伝と全日本大学駅伝で区間賞を獲得した実力者である。この内定は、主力事業から離れた領域に見える人材戦略が、いかにして総合IT企業の安定的な顧客基盤づくりと結びついているかを示す好例となっている。
新戦力獲得の背景と選手実績
小池莉希選手は2026年の第102回箱根駅伝6区で区間賞を獲得し、同年の関東学生陸上競技対校選手権大会男子2部10000mでは日本人トップの成績を収めた。中村晃斗選手は大学3年次に出場した全日本大学駅伝1区で区間賞を獲得しており、1500mと5000mにおけるスピードが武器である。GMOインターネットグループ陸上部は2026年のニューイヤー駅伝で初優勝を達成しており、連覇に向けた戦力補強の意図が明確に読み取れる。
ノンコア事業としてのスポーツ支援の構造的意味
GMOインターネットグループの主力事業はインターネットインフラ、セキュリティ、広告・メディア、金融、暗号資産であり、陸上競技への直接的な収益貢献を期待する構造ではない。しかし、同社は2016年の陸上部創設以来、スポーツ支援を継続している。この継続性を支えるのは、ドメインレジストリやホスティング、決済代行といったストック型収益を多く抱える事業ポートフォリオである。毎月積み上がる利用料収入が、短期的なROIが求められにくい分野への長期投資を可能にしている。
実業団スポーツが果たす人材獲得と企業ブランドへの波及
駅伝は日本国内において視聴率が高く、特にニューイヤー駅伝は正月の風物詩として企業名の露出機会として機能する。GMOインターネットグループのコーポレートキャッチ「すべての人にインターネット」を体現するメディアとして、陸上部は顧客との接点を増やす役割を担う。また、選手は競技引退後に社業に専念するキャリアパスが一般的であり、企業理念に共感し、目標達成への執着力を持つ人材を長期的に確保する採用経路としても機能している可能性がある。
今後の焦点と業界への示唆
実業団スポーツの運営は景気変動の影響を受けやすく、本業の業績悪化時にチーム縮小や休廃部に至る事例は過去に繰り返されてきた。GMOインターネットグループがストック型収益の安定性に支えられながら、この投資をどの程度の期間継続するかは、他のIT企業が同様の取り組みを行う際の参照点となる。また、2027年のニューイヤー駅伝で連覇を達成した場合、同社の企業ブランド価値に与える具体的な効果についても、マーケティング投資の効率性という観点から注目に値する。