人型ロボット開発のFigure AIが、自社株式の未承認売買に関する異例の公式通知を発表した。Hiive、Forge Global、EquityZenといった著名な未公開株取引プラットフォームや、特定の売り手を実名で挙げ、取締役会の承認がない株式移転はすべて無効と宣言。投資家に対し、こうした取引に関与した場合、株主として認められず投資を失う可能性があると警告している。未上場ハイテク企業の株式をめぐる二次市場取引が活発化するなか、発行体が法的措置まで示唆して強く牽制する構図は、業界の新たな緊張を映し出す。
取締役会承認のない移転は「無効」──SPV経由の抜け道も封鎖
Figureが7月8日付で発表した通知の核心は、自社の優先株式と普通株式のすべてに譲渡制限が付随しており、取締役会の明示的な承認がない移転は「無効」であり、帳簿上も認識しないという一点にある。この制限は直接の株式売買だけでなく、Figure株を保有する特別目的会社(SPV)や投資ファンドの持分を売買する「アップストリーム取引」にも及ぶ。未公開株市場では、発行体の譲渡制限を回避するためSPVを経由した取引が慣行的に行われてきたが、Figureはその抜け道を明確に封じた。既存株主には、持分移転の前に取締役会への通知を義務づけている。
買い手にも及ぶ法的リスク──「投資喪失と法的責任」の二重警告
Figureの通知は、未承認取引の売り手だけでなく、買い手に対しても明確に警告を発している。未承認の株式を購入した場合、株主としての地位を認められず、投資額を失うリスクがあると明記。さらに、法的責任を問われる可能性にも言及し、Figureが適用法令に従って未承認移転を無効化し、追加の法的措置を取る権利を留保していると述べた。未公開株の二次取引は、スタートアップ従業員の流動性確保手段として一定の需要がある一方で、発行体の管理が及ばない取引が投資家保護や株主構成の不透明化を招く構造的な問題を抱えている。Figureの通告は、この構造問題に対して発行体が強硬な立場を取った事例となる。
トークン化証券や先渡契約にも警戒──手口の多様化に対応
通知では、未承認売買の手口として、直接売買だけでなく、先渡契約(フォワードコントラクト)やトークン化証券といった手法も列挙されている。特にトークン化証券は、ブロックチェーン技術を用いて株式の経済的権利をデジタルトークン化し、規制の隙間を突いて流通させる動きが一部で広がっている。Figureがこれらの手法を具体的に名指ししたことは、未公開株をめぐるイノベーションの裏側で、発行体の意図しない流通チャネルが急速に多様化している実態を示す。この動きはFigure一社の対応を超えて、未上場の高評価AI・ロボティクス企業全般が直面する新たなガバナンス課題として浮上している。