AI導入支援を手がけるエクサウィザーズは、2026年10月に大規模カンファレンス「AI Innovators Forum 2026」を開催する。三井住友フィナンシャルグループCEOの中島達氏やAIエンジニアで参議院議員の安野貴博氏らが登壇し、「覚悟と熱意」をテーマに企業変革の本質に迫る。ツール導入を超えた経営変革の実践知が共有される場となりそうだ。

「覚悟と熱意」がテーマに据えられた背景

第2回となる今回のテーマは「覚悟と熱意」である。主催者であるエクサウィザーズは、AI時代の企業の命運を分けるのは、不確実性の中で決断を下す経営者の「覚悟」と、変革を現場でやり抜く実務者の「熱意」だと位置づける。同社はこのカンファレンスが扱うAX(AIトランスフォーメーション)を単なるツール導入や従来のDXの言い換えとは明確に区別しており、業務、意思決定、人材のあり方までを含む経営変革として定義している。初回開催時の参加者満足度が90.6%に達した背景には、成功事例だけでなく試行錯誤を含めた実践知への需要があることが示唆される。

産官学の登壇者が示すAI導入の現状と課題

登壇者には金融、政策、学術の各領域から30名以上が名を連ねる。三井住友フィナンシャルグループ執行役社長グループCEOの中島達氏は、日本の大手金融機関におけるAI活用の意思決定プロセスを語る可能性がある。参議院議員でAIエンジニアの安野貴博氏の登壇は、政策立案と技術開発の両面からAIガバナンスや社会実装の論点が提示されることを示唆する。またフィジカルAI研究の第一人者である早稲田大学の尾形哲也教授の参加は、ソフトウェア領域を超えた物理空間でのAI活用という技術的論点が議題に上ることを意味する。

AI産業構造における「導入・変革支援」レイヤーの存在感

今回のカンファレンスは、AI産業のレイヤー構造において、基盤モデルやクラウドインフラとエンドユーザー企業をつなぐ「導入・変革支援」領域の動きとして捉えられる。エクサウィザーズはこの領域で累計2,500社以上の支援実績を持つことを公表している。GPUや大規模言語モデルの性能向上が続くなか、実際の業務プロセスや意思決定の仕組みにAIを統合するには、経営層のコミットメントと現場の実行力が不可欠である。同社が「覚悟と熱意」を前面に打ち出すのは、技術の調達や実装以上に組織変革の難しさがAXの障壁となっている現状を反映していると考えられる。

国内企業が直面する実践的課題とフォーラムの役割

プログラムはトップリーダーセッション、技術セッション、事例セッションの3系統で構成される。事例セッションでは金融、エネルギー、鉄道、製造、小売といった業界のAI推進リーダーが登壇予定で、社内の抵抗やデータの壁、費用対効果といった具体的な障害への対処法が共有される見込みだ。現地会場では登壇者とのネットワーキングやAIコンサルタントへの個別相談が設定されており、オンラインでは得られない実務者同士の対話の場が提供される。日本のAI導入現場が直面する最大の課題は技術理解より組織内の合意形成と運用定着にあることを、本フォーラムの設計は示している。