デジタル庁が2026年6月3日に開催した合同会議で、行政事業レビューシートへのAI活用実証やAIワークスペースの整備状況が議題に上がった。行政のデジタル化が生成AIの実装段階に入ったことを示す資料群であり、政府調達や業務効率化に関わる事業者にとって、今後の需要を読み解く手がかりとなる。
AI活用実証と情報公開アプリの具体像
今回の会議では、行政事業レビューシートの作成・点検におけるAI活用に向けた実証事業のほか、AIワークスペース、情報公開AIアプリ、機械可読性チェックツールが議題に並んだ。いずれも、文書作成や情報整理といった行政内部の反復的業務をAIで支援する枠組みである。資料からは、単なる試行ではなく、各府省庁の日常業務に組み込む前提で設計が進められていることが読み取れる。ただ、使用するモデルや提供事業者、調達方式については現時点では明らかにされていない。
行政DX市場に生じる調達と競争の変化
デジタル庁がAIワークスペースや情報公開AIアプリを推進することは、政府の情報システム調達において、従来の業務システム開発とは異なるレイヤー、すなわちクラウド上のモデルAPIやアプリケーション層の需要を生む可能性がある。GPUや大規模言語モデルの提供事業者だけでなく、行政文書の特性に合わせたプロンプト設計、セキュリティ対応、職員向けUXを担うSI事業者やコンサルティング企業にも影響が及ぶ。農林水産関係の行政手続DX調査や厚生労働省の情報システム適正化の議題も、業務プロセス改革とAI導入が一体で進む構図を示している。
体制整備と組織設計が示す次の焦点
議事には、令和9年度の機構・定員要求を見据えたAX/DX推進のための体制整備も含まれていた。AI活用を継続的な業務改善につなげるには、ツール導入だけでなく、各府省庁に専門人材やPMO機能をどう配置するかが焦点となる。外務省PMOの取組が議題に上がっていることも、プロジェクト管理とDX推進の分離ではなく、一体化を模索する動きを示唆する。AIの性能向上そのものよりも、組織がそれを使い続けられる仕組みづくりが、今後の行政DXの論点になる。