データセクションが2026年6月、パリで開催される欧州最大級のテックイベントViva Technology 2026に登壇し、次世代AIデバイスを世界初公開する。本デバイスは、チャットや画面操作の枠を超え、現実世界で自律的に行動するAIコンパニオンを具現化する構想の核となる。AI産業がソフトウェアから実世界エージェントへと重心を移す転換点として、日本企業によるハードウェアを伴うグローバル発信の意義は小さくない。
VivaTech登壇で示されたAIの次のフェーズ
データセクションは2026年6月17日から20日までパリで開催されるViva Technology 2026において、CEOの石原紀彦とCBOのScott Trowbridgeが講演を行う。テーマは「Beyond the Chatbot: The Rise of AI Companions」であり、現状のチャットインターフェースを超えたAIの進化系を提示する場となる。講演は初日17日の11時55分からメインステージのStage Oneで実施される。イベントは約18万人の来場者、1万4000社の出展スタートアップ、3600名の投資家が集結する規模であり、グローバルAIエコシステムにおける同社のプレゼンス向上を示す形となる。
世界初公開される次世代AIデバイスの位置づけ
公開される次世代AIデバイスは、現段階で製品スペックや価格、発売時期といった詳細は明らかにされていない。しかし同社はこのデバイスを、人とAIエージェント、そしてAIエージェント同士の新たなインタラクションを実現するために設計されたものと位置づけている。具体的には、デジタル環境とフィジカル環境の両方を横断しながら、自然で直感的なAI体験を提供することを目指している。これはAIが画面内のソフトウェアから、現実世界で自律的に動き他のエージェントと協調する実世界対応型へ移行するという、同社の産業ビジョンを具現化する製品とみられる。
Agent-to-Agent Economyが意味する産業構造の変化
データセクションが言及する「Agent-to-Agent Economy」は、人間がAIに指示を与えるだけでなく、複数のAIエージェントが相互に連携してタスクを遂行する経済圏を指す。この概念はAI産業の構造に再考を迫る可能性がある。クラウド上の大規模言語モデルやAPIの進化に加え、実世界でのアクチュエーションを担うデバイス層が新たな競争軸として浮上するためだ。GPUやクラウドインフラ、基盤モデル開発、API提供、そしてエンドユーザー向けデバイスという従来のレイヤー構造に、エージェント間の協調を管理するミドルウェアやプロトコル層の必要性も示唆される。
日本企業にとっての論点と今後の注目点
日本のAI産業は主にクラウドサービスや業務効率化ソリューションの導入が中心であり、グローバルに向けたハードウェア提案の事例は限られてきた。データセクションが東証グロース上場企業として、パリの国際舞台でデバイス構想を発表することは、日本のAIスタートアップ・中小企業がハードウェアとAIを組み合わせた垂直統合型の価値提案に踏み出す一例となる。今後は同デバイスの技術仕様や実証実験の進捗、具体的な提携先、価格設定、日本国内での展開有無などが明らかになるかが注目される。またVivaTechでの反応は、実世界AIエージェント市場の受容性を測る先行指標になるだろう。