ブレインパッドは2026年9月3日・4日に開催される「AI Commerce EXPO / SNS運用戦略Expo 2026」で、EC向け生成AIサービス『Rtoaster GenAI』とSNS分析基盤『Brandwatch』を出展する。数値やシステム任せの接客と、生成AIの不確かな回答への依存という二つの課題に対し、顧客の文脈と生のデータを意思決定の起点に置くアプローチを提示する。
生成AIをEC接客の文脈理解に使う
ブレインパッドはAI Commerce EXPOで『Rtoaster GenAI』を出展し、9月3日のセッションに登壇する。焦点は「独りよがりなEC接客」からの脱却である。従来のサイト内検索はキーワード一致に依存し、感覚的な表現では商品がヒットせず、検索結果0件による離脱が機会損失となってきた。『Rtoaster GenAI』は入力キーワードから見出し文章を自動生成し、商品情報を拡張してカテゴリ単位で提示する。ユーザーは店員に相談する感覚で商品を探せるようになり、通常検索で0件の場合にAI検索結果を自動表示する導線も用意する。さらに検索ログから潜在的ニーズを収集し、MDや企画立案に活用できる設計である。最短1週間での導入を掲げる点は、EC事業者にとって導入障壁を下げる要素となる。
SNS分析では生データを根拠にする
SNS運用戦略Expoでは『Brandwatch』を出展し、生成AIの「もっともらしい回答」に潜むリスクをテーマにしたセッションを9月3日に実施する。生成AIによる推測や要約のみに頼る意思決定は、事実と異なるハルシネーションや誤った情勢判断を引き起こす可能性がある。『Brandwatch』はX(旧Twitter)やRedditの全量データを含むSNS・ブログの膨大なテキスト・画像を分析対象とし、生活者が実際に投稿した生データを蓄積する。そのデータをAIにグラウンディングすることで、消費者リサーチとSNS運用管理を単一のエンタープライズシステムで行う。これは生成AIの回答精度を、人間の実際の投稿という事実に紐付けて高める構造である。
生成AI活用で浮かぶ二つの設計思想
今回の出展内容から、生成AIをビジネスに組み込む際の異なる設計思想が読み取れる。『Rtoaster GenAI』は生成AIの生成能力を前面に出し、ユーザーの曖昧な検索意図を商品発見へ変換する。一方『Brandwatch』は生成AIの生成能力を直接の回答として使うのではなく、事実データに根拠づけるための基盤として位置づける。前者が顧客体験の改善、後者が意思決定の正確性に重きを置く。AIの導入が進むほど、生成結果をどこまで信用してよいかという課題が企業の実務で顕在化しており、この二つのアプローチは同じ生成AI技術でも用途によって信頼性の担保方法が異なることを示している。
影響する業界と今後の論点
影響を受けるのはEC事業者、SNSマーケティングを手がける企業、そして市場調査部門を持つ組織である。日本市場ではECの離脱率改善と、SNS上の消費者理解の精度向上が継続的な課題となっている。ブレインパッドの提案は、AIモデルやクラウド基盤の上に位置するアプリケーション層の企業が、特定業務の課題に対して生成AIをどう適用するかを具体化した事例といえる。今後は導入企業における検索離脱率やコンバージョン率の変化、SNSデータを根拠にした意思決定が実際に事業成果へ結びつくかが論点となる。また、生成AIの回答精度を生データで担保する手法が、他のデータ分析領域にも広がるかが注目される。