サイバーエージェントが運営するABEMAは、2026年9月3日からアンチエイジングをテーマにしたバラエティ番組『エイジレスボーイズ』を毎週木曜に全12回放送すると発表した。知識レベルの異なる3人のMCを据え、コアな美容層からライト層までを取り込む構成を取ることで、美容関連市場におけるコンテンツの間口拡大を狙う。

美容特化番組の不在を埋める構成

番組の総合演出である玉野鼓太郎は、アンチエイジングに特化した番組がまだ存在しないという認識から本企画を立ち上げたと述べている。MCにはヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロ、美容に関心の高い芸人レインボー池田直人、美容初心者のアイドルAぇ! group小島健を配置した。美容の専門家、知識を蓄えた愛好者、これから学ぶ初学者という異なる知識層を意図的に組み合わせることで、単なる美容情報の提供ではなく、視聴者自身の立場に近い視点を番組内に複数用意している。企画も、エイジレスな芸能人への密着、MC自身の美容ルーティンの公開、話題の美容法の実地検証など、情報の深さと娯楽性を段階的に切り替えられる設計になっている。

美容市場の視聴者層拡大という狙い

本番組の特徴は、美容への関心が低い視聴者を排除しない設計にある。小島健が「美容初心者」としてMCに加わることで、美容をこれから学びたい層や男性視聴者にとっての入口として機能する余地がある。また、小田切ヒロが「自分を愛したい」「新しい自分に挑戦したい」という言葉で番組の方向性を表現しているように、単なるテクニック紹介ではなく自己肯定感の向上という心理的価値を前面に出している。これは、美容をすでに習慣化している層だけでなく、年齢を重ねることに不安を感じながらも具体的な行動に移せていない潜在的視聴者を取り込むためのメッセージ設計といえる。

動画配信と美容産業の接点

サイバーエージェントがこの種の番組をABEMAで展開することは、動画配信事業における広告・課金モデルと美容産業の商流が交わる場を作る可能性がある。番組内で紹介される美容法や美容グッズは、視聴後の検索行動や購買行動につながりやすく、美容関連企業や通販事業者にとって番組自体がマーケティング接点になり得る。ただし、現時点でスポンサーやタイアップの有無、番組と連動した物販の仕組みなどは明らかにされていない。ABEMAは基本無料の広告型配信と月額制のプレミアム会員を併用しており、この番組がどの収益経路に寄与するのかも公開情報からは判断できない。

コンテンツ戦略から読む今後の論点

今回の発表からは、サイバーエージェントがABEMAのオリジナル番組において、特定の関心領域に深く切り込むフォーマットを拡充しようとしている傾向が読み取れる。今後、実際の放送内容が美容情報の信頼性や科学的裏付けをどこまで担保するのか、エンターテインメント性とのバランスをどう取るのかが論点になる。また、美容産業側からは、番組で紹介された情報がどの程度視聴者の消費行動に影響を与えるのかが関心事となる。全12回という限定的な放送枠の中で、視聴者の継続視聴をどの程度確保できるかが、類似企画の展開可能性を左右するだろう。