データセンター需要がDTEエナジーを変える 電力販売5〜7%成長へ上方修正

ミシガン州の大手公益企業DTEエナジーは、データセンターの急増を背景に長期利益成長率の見通しを引き上げた。同社は2025年から2029年にかけ、年間5〜7%の電力販売量成長を見込み、1株当たり利益の年平均成長率も従来の6〜8%から8〜9%へ上方修正している。これはデータセンター事業者からの大規模な電力需要が、規制料金ベースの投資回収モデルと合致した場合の数字だ。

データセンター開発で電力需要が急拡大

DTEエナジーのサービス地域では現在、複数のデータセンター開発案件が進行している。同社の発表資料によると、2029年までに総計2.3ギガワット相当のデータセンター負荷が系統に接続される見込みだ。これは原子力発電所2基分に匹敵する規模であり、公益セクター全体でみても突出した需要増加率となる。

すでに同社は、ミシガン州南東部でコロケーション型データセンター向けの料金メニューを州公益事業委員会に申請している。アナリスト予測では、仮に全案件が実現した場合、総投資額は20億ドルを超える可能性があり、長期インフラ計画の大幅な上方修正につながるという。データセンター事業者は安定した電力供給と再生可能エネルギー調達を重視しており、DTEが保有する天然ガス火力と再エネの組み合わせが評価されている。

24年決算と25年ガイダンスの核心

同社の2024年度決算は、営業収益が前年比約4%増の127億ドル、調整後EPSは6.83ドルとアナリスト予想をわずかに上回った。特に第4四半期の電力販売量は住宅向けこそ微減だったものの、商業・産業向けが3.2%伸びて全体を押し上げている。

25年通期の調整後EPSガイダンスは7.21〜7.43ドルで、中間値は前年比7.2%増となる。経営陣は決算説明会で「データセンター関連の売上寄与は2年目以降に本格化する」と述べ、長期的な料金ベースの拡大に自信を示した。設備投資は25年に約40億ドルを計画し、このうち送配電網の強靱化に約60%を振り向ける方針だ。

配当と株主還元の継続性

DTEは公益セクターでもトップクラスの配当成長率を誇る。24年の年間配当は1株当たり4.09ドルで、過去10年間の年平均成長率は約6%を維持してきた。今回のEPS成長率引き上げを受け、市場では「配当成長がさらに加速する可能性がある」との見方も出ている。

フリーキャッシュフローの改善がそれを後押しする。同社の営業キャッシュフローは24年に約32億ドルに達し、再生可能エネルギー投資に対する税額控除の効果も加わって手元資金は潤沢だ。格付会社の見解では、大規模投資が続いてもA格相当の信用力は維持できると評価している。

公益株に再評価の動き

米国市場では、データセンター需要を取り込む公益企業に資金が流入している。AI向け半導体需要などと異なり、公益株は長期契約と規制料金に支えられた安定収益が魅力だ。DTEの株価収益率は足元で約18倍と、公益平均の17倍台をやや上回る水準まで買われている。

一方、ガス小売り事業における冬季の暖房需要変動や、ミシガン州の規制環境の厳格さには留意が必要だ。州委員会が認める自己資本利益率は現在9.9%で、近隣州と比べて必ずしも高くない。もっとも経営陣は「データセンター向け料金メニューの承認を年内に得たい」としており、実現すれば収益率の上振れ要因となる。

日本企業のデータセンター戦略にも波及

この動きは日本市場にも無縁ではない。ミシガン州は自動車産業の集積地であり、トヨタ自動車やデンソーなど日系企業の研究開発拠点が置かれている。同地域の電力インフラがデータセンター投資によって強化されれば、日系工場の再生可能エネルギー調達やサプライチェーンの電力安定性が高まる可能性がある。

またNTTデータやKDDIなど、北米でデータセンター事業を拡大する日本企業にとって、DTEのような公益企業が示す料金設計や系統接続の迅速性は投資判断の参考になる。エネルギーアナリストは「中西部の公益各社がデータセンター需要をどれだけ自社の成長に転換できるかが、今後の業界再編を左右する」と指摘している。ミシガン州の先行事例は、日本企業が北米の電力調達戦略を練る上で重要なケーススタディとなるだろう。