GMOインターネットグループのGMO TECHは、Google AIモードによる店舗・施設検索の回答分析結果を公開した。約44万件の回答を調査した結果、約7割がGoogle店舗カードを参照しており、AI検索時代の店舗集客では「自社Webサイトの最適化」だけでは不十分になる可能性が浮き彫りになった。
AI回答の情報源がWebサイトから店舗カードへ
調査は2026年5月から7月にかけて、飲食店や病院、美容室など21業種を対象に実施された。約11万件の検索クエリと延べ約44万件のAI回答を分析したところ、約7割の回答でGoogle店舗カードの参照が確認された。さらに、AI回答に含まれる参照情報全体に占めるGoogle店舗カードの割合は、5月の平均38.0%から7月には48.8%へと上昇している。この変化は、GoogleのAI検索が一般的なWebページの要約だけでなく、Google自身が保有・管理する店舗情報データベースと強く連携し始めていることを示唆する。
業種別で異なるAIの参照傾向
2026年7月4日時点のデータでは、9業種でGoogle店舗カードが引用全体の過半数を占めた。最も比率が高い居酒屋は87.5%に達した一方、最も低いフィットネスは9.8%にとどまり、業種間の差は77.7ポイントに広がった。医療機関や不動産、美容室など、地域密着型の業種でも店舗カードの利用率は高い。AIの参照傾向が業種ごとに大きく異なることは、画一的なAI対策ではなく、業種特性に応じた情報整備が必要であることを意味する。
店舗情報を「AIに理解される形」で整備する必要性
調査を担当したアルゴリズム研究室は、Google独自形式のURL構造を解析することで、AI回答の参照先を個別の店舗・施設情報と結び付けられることを確認した。これにより、従来は把握が困難だった「AIがどの店舗情報を根拠に回答したのか」を定量的に観測できるようになった。店舗名、住所、営業時間、電話番号、口コミなどの情報が一つの基盤として機能しており、企業はWebサイトだけでなく、Google上の店舗情報を正確かつ最新の状態に保つことが、AI推薦を受けるための前提条件となる。
ローカル検索市場で進む情報基盤の再編
AI検索の普及により、店舗・施設の発見経路は検索結果ページのクリックから、AIによる直接的な候補提示へと移行しつつある。Google店舗カードの参照比率上昇は、Googleが自社の構造化データをAI回答の主要な情報源として優先する傾向を反映している。この動きは、店舗集客を手掛ける企業やMEO(マップエンジン最適化)サービス事業者にとって、サービス設計の前提を変える可能性がある。情報の一元管理と整合性確保が、AI推薦獲得の競争力を左右する段階に入ったと言える。
今後の論点:観測継続と業種別戦略の確立
GMO TECHは本調査を継続し、AI検索における引用・推薦の変化を追跡するとしている。AIの参照傾向は固定的なものではなく、アルゴリズム更新や新機能の追加によって変動することが予想される。企業にとっては、自社の属する業種でGoogle店舗カードの参照比率がどの程度かを見極め、情報整備の優先度を判断することが実務上の課題となる。また、Google以外のAI検索やチャット型AIにおける店舗推薦の仕組みとの比較も、今後の重要な論点となるだろう。