GMOインターネットグループのエンジニアが参画する国際合同チーム「Blue Water」が、2026年8月の「DEF CON 34 CTF Finals」で初の世界1位を獲得した。3年連続の2位を経ての優勝であり、グループがセキュリティ人材の育成と獲得に振り向けてきた経営資源が、世界トップレベルの競争力を持つに至ったことを示す出来事である。
大会結果の内訳とグループの関与規模
決勝戦「DEF CON CTF Finals」で優勝したBlue Waterは、perfect blue、Water Paddler、undef1nedの合同チームであり、GMOサイバーセキュリティ byイエラエとGMO Flatt Securityのエンジニアがundef1nedのメンバーとして加わっている。グループ全体では6チームが出場し、IoT Village CTFで世界2位、Game Hacking Village CTFで世界3位、Blue Team Village CTFとHardware Hacking Village CTFでそれぞれ世界4位など、複数部門で上位に入った。同グループは国内最大級と称する200名超のホワイトハッカーを擁しており、その一部が選抜されて大会に臨んだ形である。
CTF参加を人材開発と事業に直結させる構造
GMOインターネットグループがCTFへの参加を後押しするのは、競技を実戦に近い攻撃者視点の演習の場と捉えているためである。プレスリリースでは、大会で得た知見を脆弱性診断やプロダクト開発に還元する方針が明示された。GMOサイバーセキュリティ byイエラエはペネトレーションテストやSOCサービスなどを手掛けており、GMO Flatt SecurityはAIエージェント「Takumi byGMO」を提供する。上位入賞によって得られる外部評価は、これらのサービスの技術的信頼性を補強する材料として機能する可能性がある。
国内セキュリティ市場とホワイトハッカー育成への示唆
200名超のホワイトハッカーを組織内に抱える体制は、国内企業では突出した規模であり、今回の結果はこうした先行投資が国際競争力の獲得に結びつくことを示唆する。CTF決勝の参加メンバーである小池悠生氏は、大会の転換点としてAIの急速な進展を挙げており、攻撃手法・防御手法の双方でAIの影響が拡大しつつある状況が読み取れる。国内企業がセキュリティ人材を育成する際、座学や資格取得だけでなく、競技参加を通じた実践的なスキル開発が有効な経路となる可能性を、この事例は示している。
今後の注視点:知見の製品化と人材流出リスク
GMOインターネットグループが掲げる「ネットのセキュリティもGMO」という方針の実効性は、大会で得た知見が脆弱性診断やAIプロダクトにどれだけ具体的に組み込まれるかにかかる。現時点では、優勝を受けた新サービスの具体的な計画やロードマップは明らかにされていない。また、世界トップレベルの技術力を獲得した人材の社外流出をどう防ぐかも、ビジネス上の課題となる。国内外のIT企業やセキュリティ専業企業との人材獲得競争の中で、GMOが競争優位を持続できるかは、処遇やキャリアパスの設計に依存する部分が大きい。