米国証券取引委員会(SEC)は2026年6月30日、革新的な資産クラスに投資したり、新しい投資戦略を採用したりする上場投資信託(ETF)に関する意見公募を開始した。ETF市場は2019年の4兆ドルから2025年末には12兆ドル超へと3倍に成長しており、規制の透明性が次の発展段階の鍵となる。

12兆ドル市場の変質と規制の追いつき方

SECの意見公募は、単に新商品を承認する手続きの確認ではない。2019年からの6年間で残高が3倍になったETF市場では、インデックス連動型からアクティブ運用型、さらにデジタル資産やデリバティブを組み込んだ「ノベル(新奇な)ETF」へのシフトが加速している。SEC投資管理局長のブライアン・デイリー氏が「過去の成功物語」と呼ぶ成長の裏で、1940年投資会社法が想定しなかった運用形態が次々に登場していることが、今回の規制枠組み見直しの直接の引き金だ。

「投資会社」の境界線が揺らぐ新商品群

公募の主な論点の一つは、特定のノベルETFが法的に「投資会社」に該当するか否かの判断基準だ。多くのETFは登録投資会社として厳格な規制を受けるが、原資産を直接保有せずデリバティブや暗号資産のエクスポージャーを合成する商品では、従来の線引きが曖昧になっている。SECはこの法的地位の整理を通じて、投資家保護と市場の公正性を確保するための基準を明確化したい考えだ。登録プロセスがどう変わるかは、今後の半年間で寄せられるパブリックコメントの内容によって方向性が定まる。

ポール・アトキンズ体制が示す「事前対話型」の規制思想

ポール・S・アトキンズSEC委員長は声明で「一貫性があり、透明で、効率的な規制枠組み」がETFの革新を支えると述べた。この発言は、規制当局が市場参加者に門戸を開き、新商品の設計段階から対話を重ねる「事前対話型」の規制アプローチへの転換を示唆している。イノベーションの促進と投資家保護はしばしばトレードオフと見なされるが、今回の意見公募は、両立のためのルールメイキングを市場全体で設計する場として機能する。特に60日間という意見募集期間は、政策形成のスピード感を重視する現体制の姿勢を表している。

次に生まれる商品は何か――産業の争点は「定義」に移る

今回の意見公募で最も実務的な影響が大きいのは、登録手続きの効率化に関する部分だ。暗号資産の現物あるいは先物を組み合わせたETF、プライベートクレジットを組み込む流動性商品、アクティブ運用とパッシブ運用を動的に切り替える戦略など、すでに申請準備が進む商品群は多い。SECが「何をノベルと定義し、どのような開示を求めるか」が定まることで、運用会社の製品ロードマップが決まる。産業構造としては、定義を握る者――すなわち規制当局と対話を重ねる大手運用会社が、次の12兆ドル拡張戦争の主導権を握る構図が鮮明になるだろう。