米国防総省がAnthropicを排除、OpenAIらと機密AI契約

米国防総省は2026年5月1日、OpenAI、Google、Nvidiaら7社と機密情報を扱うAIツールの使用に関する契約を締結した。これにより、同省はAnthropic社の利用を停止し、サプライチェーン上のリスクを理由に同社を除外した。この動きは、米軍がAIを戦闘の中心に据える「AIファースト」戦略を加速させるものであり、米国の国家安全保障におけるAIガバナンスの方向性を示す重大な転換点となる。

契約を結んだ企業はOpenAI、Google、Microsoft、Amazon、Nvidia、イーロン・マスク氏のxAI、そしてスタートアップのReflectionの7社である。MicrosoftとAmazonは既に国防総省と深い関係を持っていたが、NvidiaとReflectionとの契約は今回が新規となる。一方、過去に2億ドル規模の契約を結んでいたAnthropicは、国内の大規模監視や自律型兵器に関する倫理的な「レッドライン」を巡る紛争や、連邦政府による製品禁止措置への対応から、サプライチェーンのリスクと判断され排除された。

国防総省最高技術責任者のエミール・マイケル氏は、Anthropicの開発した強力なセキュリティモデル「Mythos」について、サイバー脆弱性の発見・パッチ適用に特化しているため、ネットワーク強化には不可欠だが、依然としてリスク要因であると指摘した。また、国防総省は今回の合意により、米軍がAIを活用した最先端の戦闘部隊として確立されると強調し、技術的優位性の維持と運用効率の向上を目的としている。

この動向は日本の防衛産業や技術政策にも影響を及ぼす可能性がある。米国が特定のAI企業を選別して機密情報を共有する体制を構築したことは、日米同盟における情報共有や共同開発において、どのサプライヤーを採用するかが安全保障上の重要な判断基準となることを意味する。日本企業も、米国の基準に適合するセキュリティ体制や倫理基準を満たす必要があるため、調達戦略の見直しを迫られるだろう。

今後、Anthropicが訴訟を通じて地位を回復するか、あるいは米政府との関係が再構築されるかは不透明である。トランプ前大統領は合意の可能性を示唆しているものの、現在の政権下ではセキュリティ優先の姿勢が強く、Anthropicの復帰には時間がかかる見込みだ。AI技術が軍事・安全保障の核心に位置づけられる中、企業間の競争と政府の規制が、グローバルなAI市場の構造をさらに再編していくことになる。